Bibo Roku 1

富山さんの

 

基本的に何だかんだ言って、日本というのは解雇自由な国ではないのですよね。ヨーロッパも解雇は自由ではないですし、アメリカも組合のメンバーは、首は簡単に切れません。
そういう前提でものを考えると、日本の会社の偉い人は自分の部下の首を切る権力を持っていないんです。ということは、経営者は最終的には、人望で言うことを聞かせるしかありません。

言うことを聞かせる相手と、聞かせようとする人の間の給料が10倍違ったら相手は言うことを聞いてくれないのです。
要するに毎回問われるのは自分の他者に対する影響力です。権力の実態は影響力だからです。影響力をどうやったら最大化できるかっていうことを常に考えると、例えば私が仮にパナソニックのCEOをやって、自分が20億円や30億円をもらうと、組織に対してほとんど影響力がなくなります。

そんな結果になるんだったら僕は安い給料を選びます。なぜなら影響力が大事だからです。そういうところがまだあるんです。

こればっかりは日本人のメンタリティーなので、影響を受ける側が変わってくれないといかんともしがたいところがあります。

逆に、一番自分が影響力を及ぼしたい連中が日本人ではなくアメリカ人がほとんどなら話は違います。なぜならアメリカ人は「お金をたくさんもらっている人の言うことを聞きたい」というメンタリティーがあるからです。そうなってしまったら、自分の給料をむしろ上げるようにします。なぜならそのほうが影響力があるからです。